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Thanks so much, Frei Otto.

 

 

去る3月9日、ウィルクハーン・ドイツの本社に併設された工場棟(通称パビリオン)を設計したドイツの建築家、フライ・オットー氏が死去しました。氏はテント構造の建築物設計の第一人者で、モントリオール万国博覧会西ドイツ館(1967年)、ミュンヘン・オリンピック・スタジアム(1972年)などが代表作として知られています。訃報を受け、建築界のノーベル賞と言われるプリツカ―賞審査委員会は、受賞者の発表を2週間繰り上げて行い、オットー氏に2015年の同賞を授与することを発表しました。

1980年代、製造部門の施設拡充の必要性に迫られた当時のウィルクハーン・ドイツ社長、フリッツ・ハーネは、「建築には未来に対する責任がある」と宣言し、安易な増築にブレーキをかけました。ハーネの厳しい選定眼に適った建築家が、シュトゥットガルト大学の教授を務めていたオットー氏でした。4つのテント型建築物からなる工場棟は1988年に竣工し、現在も縫製、椅子張り作業施設として稼働しており、明るい自然光に満たされた作業空間は従業員から深く愛されています。

 

Profile

Frei Otto (1925-2015)

ベルリン工科大学卒業後、フランク・ロイド・ライト、エーロ・サーリネン、ミース・ファン・デル・ローエ、チャールズ・イームズらに師事。1957年ベルリン軽量構造設計事務所(EL)開設。1964年シュトゥットガルト大学教授に就任し、軽量構造研究所(IL)設立。2005年RIBA(王立英国建築家協会)ロイヤルゴールドメダル受賞。

 

主な作品

スイス博覧会パビリオン(1964)

モントリオール万国博覧会西ドイツ館 (1967年)

ミュンヘン・オリンピック・スタジアム (1972年)

ハノーヴァー万国博覧会日本館屋根 (共作・2000年)

 

 

 

フライ・オットー氏追悼記事

In memory of Frei Otto (English)

 

 

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